無痛治療にかける誇り コストダウンより大切なもの

同じように見える2本の注射針

同じように見える注射針ですが……

先日、出入りのディーラーさんが、商品サンプルをもってきてくれました。
「先生、このH社の注射針は今お使いのものと同じ規格ですが、半額でお納めできます!」
わたしが歯の麻酔に使っている注射針は、国産(ミサワ医科工業製)の超極細針です。あまりに細すぎて、タイミングが合うと患者さまが「いつ麻酔したのかわからなかった」とおっしゃるくらい痛みを軽減させてくれます。
患者さまは無痛、わたしたちも嬉しい、とってもいい針です。
でも、最大の欠点が高いということ。普通の針の2倍くらいの値段です。かといって、保険は「極細注射針にかかる費用」なんて面倒見てくれません。注射針の分だけ差額を貰うと混合診療(違法)となりますし、これを使うためには医院がその費用を負担するしかありません。
「患者さまのためだし、しょうがないよね」
そう思って、この高い針をずっと使ってきました。しかし、同じ極細規格で半額(普通の針と同じ値段)の針があるなら、断然そっちが良いに決まってます。早速サンプルをテストさせてもらったのですが……。
「悪いけど、これ持って帰って。使えないよ」
同じ規格、同じ太さ、マイクロスコープで針先の形状を確認しても同じです。でもテスト歯肉に刺入してみると、高い針はスッと刺さるのに安い針は抵抗感が大きいのです。つまり、それだけ患者さまが感じる苦痛が大きくなる可能性があります。最初は気のせいかとも思ったのですが、副院長に試してもらっても「わたしもこれは使いたくない」との結論。
H社には悪いと思うのですが、ミサワ医科工業の針の方が、目に見えないレベルの仕上げ精度が高いとしか考えられません。大変魅力的なコストだったのですが、採用を見送りました。
経営者にとってコストダウンは大切なことです。でも、コストダウンより大切なものもあります。
無痛治療に最大限の配慮を怠らないこと。それがわたしたちの誇りです。

 

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